宇宙は生きている。
今も僕の手のはるかに届かないところで膨張し続けていて、この瞬間も宇宙は広がり続けている。
宇宙という単位から僕をみると僕という単位は宇宙にとって僕が電子顕微鏡で覗くような世界の生物の存在でしかない。
無限の命を懐に抱えたまま永遠に世界を広げていく、僕はそれが羨ましいのだと思う。
僕らは有限で、重力に、酸素に、世界に縋って生きている。

64兆分の1の奇跡は赤と青の螺旋で成り立ち、催眠術は寓話のようなものだ。
美しく死ぬことに意義を見出していたのは昔の話で、僕は僕の名前を見つけた。
「星の死体は、人の死体のように腐らない。」
箱庭は獣がいて、季節があって、夢の死臭がした。

僕はきっと宇宙になりたかった。