美しい獣のような、遥かな蒼穹のような、青に染まった瞳でぐるりと世界を見渡す。
毅然として踵を翻して夜空に咆哮する。
彼の白い手が空を舞えばそれは白い閃光のように彗星のように痕をひいて宙を創る。
鞘のない剣を差し出して言う。

「         。」

(あなたのその美しい横顔が歪む)
(それが例えようもなく美しいのです)
(最上の美しさで微笑んで)
(あなたに指先まで支配される)
(見えない首輪で飼いならされる)
(それすらもわたしは嬉しいのです)

星が惑い、脳が解けて、指が落ちる。
詐欺師は笑わない。
王様は白い細い指で三日月をなぞる。
冷たい指先は剣の切っ先によく似ていた。
無菌室のような、鳥籠のような、楽園のような、箱庭のような。
首輪はとっくに外された。
音を失くした王様。
子どもは音を見た。
狂気を孕む白。

夢の果ては、まだ見えない。




(飼い慣らされることのないその青)