狂気は美しい。
凶器は美しい。

「こんにちは」 とあくまはいいました。
「こんにちは」 とおとこのこはいいました。

「おれの手をとったら、つれていってあげるよ」
あくまはくろいマントをひるがえして、くろいシルクハットをふかくかぶっていいました。

「ぼくは、楽園をつくらないといけない」
おとこのこは、しろいてをかざしていいました。
あくまは、おとこのこをしばる呪いをしっていました。

「まるで神さまみたいじゃないか」
そういうとおとこのこはかなしそうにわらうのでした。


「きっと、おれはきみを忘れないでいてあげるよ」


(うそはしろいとか、そらはたかいとか、ほしはあおいとか、)
(きっと、ほんとうはどうでもいいことなのでしょう。)
(おとこのこのことばをふゆのそらのようにうつくしいとおもった、それが真実なのでした。 )


「さようなら」 とおとこのこはいいました。
「さようなら」 とあくまはいいました。




(神様になれなかったおとこのこの話)