追い詰められたカナリアは冬の世界に消えました。
僕はたぶん、神様よりも上手でした。
カナリアは無知でした。彼は歌うこと以外はできませんでした。
彼はとても美しい歌声と姿を持っていました。
僕は世界を変えようと思いました。

(僕ごときがそんなことができるなどとは到底思いませんでした。)
(でも、何かが変わると思ったのです。)
(僕の小さな小さな世界は、変わると思ったのです。)

彼は永遠を与え、消えない傷跡と美を残しました。

彼は飛びたいと夢見ていた空を手に入れたのでしょうか。
望んだ楽園は、本当にあったのでしょうか。
ぼくは彼の笑顔が見れなくなったことが、少しだけ残念に思えました。
今日も空は鮮やかな紅に染まっています。

カナリアの死体は黒く小さくなりました。

(それでもこの世界は劣化することを知らずに回り続けるのでした。)