私が目覚めたのは真っ暗なまるで夜みたいな部屋でした。
そこには闇を切るように金色の境界線が一本。
そしてその先にはおもちゃ箱が広がっていました。
その蜃気楼のような世界は遠ざかったり近付いたりしながらもいつもそこにありました。

その世界には白い子供がいました。



僕が目覚めたのは明るいまるで昼のような部屋でした。
そこにはより一層眩しい金色の境界線が一本。
そしてその先には夜みたいな真っ暗な世界がありました。
その闇は近付いたり遠ざかったりしながらもいつもそこにありました。

その世界には白い子供がいました。



血色の瞳は丸い世界を映していました。
それはとても綺麗なもので、おそらく彼は世界の汚れなど知りもしないのでしょう。
生温い羊水に浸かったまま、きらきらのおもちゃ箱の中で彼は死ぬのでしょうか。



紫色の瞳は黒い世界を映していました。
それはとても綺麗で、彼のそれは世界の全てを知っている者の瞳でした。
永遠の夜に抱かれたまま、揺り篭の底で彼は死ぬのでしょうか。




鏡があれば彼らは一つになれたのかもしれません。
認識は存在の証明だと誰かが言っていました。
ああ!しかし彼らは鏡など知らなかったのです。




(ある日、世界が壊れました。)
(崩壊する途中の世界は、とてもとても美しいものでした。)